宮崎駿の「深み」へ (平凡社新書) についてのレビュー
宮崎駿の「深み」へ (平凡社新書) について購入者の感想
ぜひ、本格的な宮崎論を! 新書で出されている宮崎アニメ論の中では、その世界観の本質へ迫ろうとする「批評性」を持った数少ない良書の一つだと思う。
宮崎アニメの世界を「ことば」「食べる」「循環」「火」「暦」などのキーワードによって読み取っていく手腕は、さすがに多くの哲学書や文学作品を読み込んで来た作者ならではの思考力を感じさせる。
無論、新書という制約からか、論証が十分でなく、思いつきの域を出ないと思われる個所もあるが(特に作品世界をジブリやアニメ業界の比喩として論じる部分)、数多(あまた)ある宮崎駿論の中でも、正面からその世界観を論じようとした貴重な文献だと言える。
願わくは制約のない専門書として、著者の本格的な宮崎アニメ論が出版されることを期待したい。
期待はずれ・・・ 着眼点は面白く、この線できちんと考察できれば、本当に宮崎氏の「深み」に到達できたのかもしれない。 しかし、筆者の知性と思考力が「浅」いのか、結局全く「深み」に達していない。出足は面白そうだっただけに読むにつれがっかりさせられた。また文章を通じて「自分は安易に宮崎作品を批判しません」という善意がおしつけがましく感じられた。
文学の視点で 本書は「ナウシカ」の「触れる」という仲介的行為から始まります。 次に「ラピュタ」と「ガリヴァー旅行記」が比較され、 「トトロ」における単なる「自然」と 特別な「自然」について説明されます。 また「宅急便」での「性」の描写、 「紅の豚」に描かれた制作会社の裏事情、 「もののけ姫」で「衣服」の謎について論を展開します。 そして「千と千尋」における「ゆ=喩」、 原作『ハウルの動く城』まで語らています。 筆者は宮崎作品に共通するのは 「有機的世界観」だと主張しています。 生き物は「腐」になり、それが「肥料」となって 次の生命を育てるというサイクルです。 筆者自身述べているのですが、 児童文学関連の立場に立って宮崎アニメが批評されています。 文学的に見るとこうなるのかと思いました。
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