実験的エレクトロニカ作品 最近エレクトロニカというジャンルが市民権を獲得しつつあるが、これはそうした見方から見たほうが早いと思う。作品はボーカルなしの曲が多く、1曲目はまるで何かが落ちてくるような実験的な音で始まる。だが「YOUR BLUE ROOM」は非情に名曲だ(ナレーションは何とアダムが担当している)。またパバロッティとの共演である「ミス・サラエヴォ」はBONOの内省的な歌い方が印象的。
テーマは“映画”。イーノが78年以来断続的にリリースしているシリーズの延長線上にある作品といえる。だがこれはイーノの作品でもU2の作品でもなく、ミュージシャンのコラボという定義になっている。だから両者のポップアイコンは完全に、ない。
ライナーにはどの曲も映画との関わりが書かれている。14の映画に関わる音がここには記されているのだ。なかでも、ジブリ以上に日本を代表し、映画「マトリックス」の根幹に影響を与えた「攻殻機動隊GHOST IN THE SHELL」からの音「ONE MINUTE WARNING」や、小林明子がHOLI名義で参加と、我々との共通点もみられる。この時彼女はイーノとBONOに、契約書の酷さを指摘され、彼らがレコード会社に抗議したおかげで作品に名がクレジットされたのだとか。イーノは清少納言について誰でもいいからニホンジンが必要だと感じていたようで、偶然都合のつく彼女にオファーがいったのだという。しかし日本人なら皆清少納言をよく知っているだろうというイーノとは反対に、小林は悩んだ末に「いとおかし」という清少納言のキーワードをフィーチャーすることにしたという。